[PHP]クラスのプライベートなプロパティやメソッドに外部からアクセスする

通常 private や protected に指定されているクラスのプロパティやメソッドを読み書きしたり実行したりすることは出来ません。
しかしテストの際などに一時的にその制限を無視してアクセスしたい場合もあります。そういったときは ReflectionClass を使うことで実現できます。

<?php
class MyClass
{
    private $foo = "";

    private function bar($str){
        return $str . "!";
    }
}

$myClass = new MyClass();

$refrection = new ReflectionClass(get_class($myClass));

// プロパティの読み書き
$foo = $refrection->getProperty('foo');
$foo->setAccessible(true);
$foo->setValue($myClass, "Hello"); // 書き込み
echo $foo->getValue($myClass); // 読み取り

// メソッドの実行
$bar = $refrection->getMethod('bar');
$bar->setAccessible(true);
echo $bar->invoke($myClass, "World");

プロパティに対しては getProperty()、メソッドに対しては getMethod() を使い、setAccessible(true) でアクセスできるようにします。

基本的には private や protected に指定されているということは外部からアクセスされたくない、書き換えられると破損するおそれがあるということですので、このようなリフレクションを使う際は内容を十分に把握し、本当に必要なときだけ利用するようにして下さい。

公式マニュアル:
PHP: リフレクション

[PHP]OpenSSLを使った文字列の暗号化と復号

PHP には mcrypt という暗号化に関する拡張モジュールがあるのですが長年放置されてしまっているため現在は OpenSSL を使った暗号化が一般的です。
基本的にはパスワードと初期化ベクトル(Initialization Vector)を用いて暗号化と複合を行います。暗号化に利用できる方式はサーバーによって異なるため、事前に openssl_get_cipher_methods() を使って利用可能な暗号化方式を確認しておきます。

<?php
// 暗号化するデータ
$data = 'Hello, World!';

// パスワード
$password = 'password1234';

// 利用可能な暗号化方式一覧
//$methods = openssl_get_cipher_methods();

// 暗号化方式
$method = 'aes-128-cbc';

// 方式に応じたIV(初期化ベクトル)に必要な長さを取得
$ivLength = openssl_cipher_iv_length($method);

// IV を自動生成
$iv = openssl_random_pseudo_bytes($ivLength);

// OPENSSL_RAW_DATA と OPENSSL_ZERO_PADDING を指定可
$options = 0;

// 暗号化
$encrypted = openssl_encrypt($data, $method, $password, $options, $iv);
var_dump($encrypted);

// 復号
$decrypted = openssl_decrypt($encrypted, $method, $password, $options, $iv);
var_dump($decrypted);

結果は base64_encode() された状態で返ります。元のバイナリデータが必要な場合 $options に OPENSSL_RAW_DATA を指定して下さい。

ログイン用パスワードをデータベースに保管する場合など、復号の必要が無い場合は password_hash() の方を利用するのが安全です。

【参考】 OpenSSL関数(http://php.net/manual/ja/ref.openssl.php)

[PHP]Twigテンプレートの実践的な構成と作り方

Twig は Silex のビューとして用いられているテンプレートエンジンです。
基本的な扱い方やインストール方法などについては前回の記事で取り扱ったので、今回はより実践的なテンプレートの組み方について説明します。

extends

一般的なサイトはヘッダー、フッター、サイドバー、メインコンテンツで構成されており、メインコンテンツ以外の場合は共通のものを使うケースが多いです。そのような場合 Twig では extends で土台となるテンプレートを利用します。ビューフォルダの中に「layouts」などの名前でフォルダを作り、base.twig というファイルを追加します。

layouts/base.twig

<!DOCTYPE html>
<html>
    <head>
        <meta charset="utf-8">
        <title>{% block title %}Twig{% endblock %}</title>
    </head>
    <body>
    <div id="header"></div>

    {% block content %}{% endblock %}

    <div id="footer"></div>
    </body>
</html>

base.twig にはメインコンテンツ以外の部分を記述しました。{% block ブロック名 %}〜{% endblock %} となっている部分にメインコンテンツが入ります。ブロック名は目的に合わせて好きな名前をつけることが出来ます。
ではこの base.twig を土台にトップページである index.twig をビューフォルダ内に作ります。(layouts フォルダ内ではありません)

index.twig

{% extends 'layouts/base.twig' %}

{% block title %}Home{% endblock %}

{% block content %}
<h1>Hello, World!</h1>
{% endblock %}

{% extends 'ファイルの場所' %} と書くことで土台とするテンプレートを指定します。
{% block ブロック名 %} と {% endblock %} で挟まれた内容が base.twig の block 部分はこの内容に置き換えられ、結果として次の HTML が出力されます。

<!DOCTYPE html>
<html>
    <head>
        <meta charset="utf-8">
        <title>Home</title>
    </head>
    <body>
    <div id="header"></div>

    <h1>Hello, World!</h1>

    <div id="footer"></div>
    </body>
</html>

ブロック名「title」の部分は「Home」という文字に変わり、「content」の部分は「Hello, World!」で置き換えられています。
ブロックは省略することができ、省略した場合は親となるテンプレートの {% block ブロック名 %} と {% endblock %} で挟まれた内容が初期値として表示されます。例では親テンプレートに {% block title %}Twig{% endblock %} のようにして「Twig」というタイトルが初期値として用意されているため、小テンプレート index.twig で {% block title %} の箇所を削除した場合はタイトルとしてデフォルトの「Twig」という文字が使われることになります。

include

{% include 'ファイルの場所' %} を用いると他のテンプレートファイルを読み込むことが出来ます。
ヘッダー部分(id=header)とフッター部分(id=footer)をそれぞれ header.twig、footer.twig というファイルに切り分け、layouts フォルダに保存した上でそれらを base.twig から読み込んでみます。

<!DOCTYPE html>
<html>
    <head>
        <meta charset="utf-8">
        <title>{% block title %}Twig{% endblock %}</title>
    </head>
    <body>
    {% include 'layouts/header.twig' %}

    {% block content %}{% endblock %}

    {% include 'layouts/footer.twig' %}
    </body>
</html>

出力される HTML は先程のものと同じです。このようにしてテンプレートファイルを分割しておくと、ホームページのみヘッダーを変えるなどの場合に便利です。

変数

コントローラーから渡された変数は {{ 変数名 }} の形で表示することが出来ます。PHP のように変数名の頭に「$」をつけることはなく、{{ var }} のようにします。
この方法で出力される値は <> などが適切に変換(エスケープ)された安全な状態で出力されます。
エスケープを行わずに出力する場合は filter の raw を使い、{{ 変数名|raw }} とすることでそのままの値を表示できます。filter には number_format や nl2br などの一般的な関数が多数用意されています。通常は必要ありませんが再度エスケープし直す場合は escape や短縮形の e というフィルターも用意されています。
また、「|」で区切ることで複数のフィルターをつなげて使うことも出来ます。

変数や文字列を連結する場合「~」(チルダ)を用いて繋ぎます。PHPと異なるので気をつけて下さい。

変数は基本的にコントローラーで用意されますが、ビュー側で set を使うことで変数を定義することも出来ます

{% set 変数名 = 値 %}

値が複数行の場合 {% set %}〜{% endset %} を使うことも出来ます

{% set foo %}
line 1
line 2
line 3
{% endset %}

配列は PHP 同様 [1, 2, 3] のように表現しますが、連想配列の場合波括弧を用いて {'foo': 1, 'bar': 2} のようにする必要があります。

制御構文

ループ

Twig でループを作るには for 〜 in を用います。扱いは foreach と似ていますが順番に注意して下さい。

<ul>
    {% for user in users %}
        <li>{{ user.name }}</li>
    {% endfor %}
</ul>

{% for key, value in users %} のようにしてキー名を取り出すことも出来ます。

PHP の for 近い使い方をする場合は次のように書きます。この例は 0〜10 までの数字を出力します。

<ul>
{% for i in 0..10 %}
    <li>{{ i }}</li>
{% endfor %}
</ul>

ループ内では loop というオブジェクト変数が自動的に用意され、次の値を得ることが出来ます

loop.index ループ回数(1から始まる)
loop.index0 ループ回数(0から始まる)
loop.revindex ループ回数の逆順(1で終わる)
loop.revindex0 ループ回数の逆順(0で終わる)
loop.first ループが最初のとき true を返す
loop.last ループが最後のとき true を返す
loop.length 配列の長さ
loop.parent ループがネスト(入れ子)しているときの親の loop を取得

条件分岐

条件分岐には {% if 条件 %}〜{% endif %} が利用できます。
PHP 同様、{% else %} や {% elseif %} も用意されています。

{% if foo == true %}
    <p>foo</p>
{% else %}
    <p>bar</p>
{% endif %}

複合条件の場合「and」と「or」が使えます。

{% if foo == 1 and bar == 2 %}

その他の機能

Twig でコメントを 使う場合 {# 〜 #} を使います。これは HTML には出力されません。
また、複数行でも利用できます。

{# comment here #}

変数の内容を確認する場合のために dump() が用意されています。これは PHP の関数 var_dump() と同じもので、変数の詳細を表示できます。

{{ dump(foo) }}