PHP で XML の内容を取得する(DOM, XPath)

前回、基本的なファイルの読み書きに関してまとめたので、今回は XML の要素を取得したり、検索する方法についてのメモです。

要素を名前から取得するには、getElementsByTagName(“要素名”) を使います。 <data> ノードの中にある最初の <sample> ノードの内容を表示するサンプルがこちらです。

sample.xml
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<data>
  <sample id="1">red</sample>
  <sample id="2">green</sample>
  <sample id="3">test</sample>
  <sample id="4">blue</sample>
  <sample id="5">white</sample>
  <sample id="6">yellow</sample>
</data>
PHP
<?php
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->load("sample.xml");

$root       = $dom->getElementsByTagName("data")->item(0);
$sampleNode = $root->getElementsByTagName("sample")->item(0);

echo $sampleNode->nodeValue;
結果
red

getElementsByTagName() を使うと、その親ノードより深いすべてのノードが配列として取得されます。 一番最初(0番目)のアイテムを選択する場合は「item(0)」のように指定します。
ノードから値を取り出す時は「nodeValue」を使えば取得できます。ノードの内容を書き換える際も直接 nodeValue 書き換えます。

$sampleNode->nodeValue = 'New Text';

上の例ではルートノード <data> を getElementsByTagName() で取得しましたが、 documentElement を使うとルートノードの名前がわからない場合でも取得できます。
ルートノードとはドキュメント内で最も浅い親ノードのことで、この場合は <data> です。 よって下記のように記述しても同じ結果を得ることができます。

$root   = $dom->documentElement;
$sample = $root->getElementsByTagName("sample")->item(0)->nodeValue;

ノードの検索

複数ある <sample> 要素の内、内容が「test」であるノードを取得してみます。

<?php
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->load("sample.xml");
$root = $dom->documentElement;

$search = "test";
$result = null;

$sampleNodeList = $root->getElementsByTagName("sample");
foreach($sampleNodeList as $sampleNode){
  if($sampleNode->nodeValue === $search){
    $result = $sampleNode;
    break;
  }
}

if( !is_null($result) ) echo $result->getAttribute("id");
結果
3

サンプルの $sampleNodes の中には getElementsByTagName() で見つかった全ての sample ノードを格納されています。 foreach でループさせ、値が見つかったら break でループを抜けます。 見つかった要素の属性名「id」の内容を取得するには getAttribute(“属性名”) を使います。


XPath を使ったノード探索

上記の方法が間違っているというわけでは有りませんが、ループで検索するのは原始的すぎると思うのであれば、XPath を使うと綺麗にまとまります。

<?php
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->load("sample.xml");

$xpath = new DOMXPath($dom);

$result = $xpath->query("/data/sample[text()='test']")->item(0);
echo $result->nodeValue;

随分すっきりしました。
基本的には query() に検索条件を指定して抽出します。 サンプルでは、値「test」を持つ sample ノードを取得しています。 「/」は階層を表します。「/data/sample」の時、<data> 要素が持つ子ノードの内、<sample> という名前の要素を全て選択します。
ディレクトリパスの書き方と同様に「.」は現在のノードを表し、「..」と書けばその親を指定することも出来ます。
条件は [] の中に記述します。テキスト内容は text() で得られるので、「text()=’test’」とするとテキストが「test」である場合という条件になります。
n 番目に見つかったノードという条件であれば「/data/sample[1]」のように指定できます。数値は 0 ではなく 1 から始まるため、この場合最初に見つかった sample ノードという意味になります。「/data/sample[position()=1]」と書いても同じです。最後に見つかったノードであれば「/data/sample[last()]」という書き方ができます。

id などの属性(Attribute)からノードを選択する場合は属性名の前に @ をつけて指定します。
ドキュメント内の全ての <sample> のうち、id が 3 であるものを取得してみます。

<?php
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->load("sample.xml");

$xpath = new DOMXPath($dom);
$result = $xpath->query('//sample[@id = "3"]')->item(0);
echo $result->nodeValue;

条件は「and」「or」を使って複数指定することもできます。

[@id="3" or @class="sample"]

この場合 id が 3 又は クラスが sample であるという条件になります。

XPathクエリの「/」は子ノード(一つ下の階層)までを検索対象にしますが、クエリに「//」をつかうとそのノード以下の子孫ノード(すべての階層のノード)が対象になります。「/data//sample」のように探索することも出来ます。この場合は <data> 以下の全ての深さの階層から <sample> という名前のノードを選択することになります。

条件は and や or で組み合わせることができます。

$result = $xpath->query('//sample[text()="green" or text()="red"]');
foreach($result as $node){
  echo $node->nodeValue . "<br />";
}

「red green」と表示されます。 red か green の値を持つすべての sample ノードが抽出されているのがわかります。

XPath の query() によって取得した DOMElement から、さらに query を使って絞り込む場合、query() の第2引数として絞込元となるノード(コンテキストノード)を渡します。そのさいクエリを「//title」のようにしてしまうとコンテキストノードを指定する意味がなくなってしまうので、「.//title」などの相対的な書き方にします。

<?php
$xml = <<<EOD
<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
<data>
  <article>
    <title>sample1</title>
  </article>
 
  <article>
    <title>sample2</title>
  </article>
</data>
EOD;
 
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->loadXml($xml);
 
$xpath = new DOMXPath($dom);
 
$article = $xpath->query('//article')->item(0);
$title = $xpath->query('.//title', $article)->item(0);
echo $title->nodeValue;
結果: sample1

XPath の文法の詳細については、こちらのサイト(http://www.techscore.com/tech/XML/XPath/xpath02.html/)が わかりやすくまとめてくださっています。


子ノードの削除

親ノードから子ノードを削除するには removeChild() を使います。

$xpath  = new DOMXPath($dom);
$result = $xpath->query('/data/sample[text()="test"]')->item(0);
$result->parentNode->removeChild($result);

$root->removeChild($result);

子ノードの削除は親ノードから行います。親ノードの参照は parentNode に格納されているのでそれを利用します。あるいは '/data/sample/..' のようにしてパスを遡って親ノードを取得する方法もあります。

PHP で XML を読み書きする (DOM)

ちょっとしたデータの保管や、RSS、サイトマップなどを出力する際、
XML を扱うことはかなり多いと思いますが、
実際に操作してみるとなんとなくややこしいように見えるので
基本的な方法をまとめておきます。

新規に XML を作るには、新しくDOM ドキュメントを作ります。
「1.0」は XML のバージョンで、「UTF-8」は文字コードの指定です

$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');

ファイルから読み込む場合も新しい DOM ドキュメントを作り、
その中にファイルの内容を読み込みます。

$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->load("sample.xml");

すでに変数の中に文字列として XML の内容を読み込んである場合は
loadXML() を利用します。

$string = file_get_contents("sample.xml");
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->loadXML($string);

このままでも読み込みとしては問題ないのですが、
保存時や出力時に改行やインデントがなくなるため、
整形された XML を出力したい時は次のようにします。

$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;
$dom->load("sample.xml");

ノードを追加するには、createChild() でノードを作成し、
appendChild でノードを追加するのが基本的な流れです。

$datanode = $dom->createElement("data");
$root = $dom->appendChild($datanode);

この場合は空っぽのノード <data /> が作られます。
ではこの親ノードに値を持つ子ノードを追加してみます。

$childnode = $root->appendChild($dom->createElement("child", "Hello"));

今回は省略して一行にまとめてみましたがやっていることは同じです。
実行結果は下のようなります。

<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<data>
  <child>Hello</child>
</data>

テキストノードの代わりに CDATASection を挿入することも出来ます。
CDATASection内部では「<>」などの記号をエスケープすることなく扱うことが出来ます。
通常のテキストノードであっても自動的に「&lt;」のように変換されるので問題は有りません。

$cdata = $dom->createCDATASection("Hello");
$childnode->appendChild($cdata);
<child><![CDATA[Hello]]></child>

次は実行結果をファイルに保存します

$dom->save("test.xml");

画面に表示したり、変数に格納する場合は次のようにします

$content = $dom->saveXML();
header("Content-Type: text/xml; charset=utf-8");
echo $content;

新しい XML を表示するサンプル

<?php
$dom = new DOMDocument('1.0', 'UTF-8');
$dom->preserveWhiteSpace = false;
$dom->formatOutput = true;

$datanode = $dom->createElement("data");
$root = $dom->appendChild($datanode);

$root->appendChild($dom->createElement("child", "Hello"));
$content = $dom->saveXML();
header("Content-Type: text/xml; charset=utf-8");
echo $content;

ノード値の取得、編集、検索などの方法は次回で説明します。